「新しい」とはなにか。
#2 「新しい」に求められる意識。

「新しい」とはなにか。言葉の追求にしても、感覚の追求にしても、事例の追求にしても、新しいを探る旅は深遠かつ広大です。ネオスとは、ギリシャ語で「新しい」を意味する言葉。「新しい」を社名として掲げる企業のトップは何を考え、何を見ているのか。特集第一回目は、池田代表取締役社長にお話を伺い、「新しい」を探る思考を紐解きます。

池田昌史

ネオス株式会社 代表取締役社長
2004年にNECを退職しネオス(創業時はプライムワークス)を立ち上げる。コンテンツとインターネットの融合を事業指針にし、時代の変化を捉え様々な事業を推進。独自のプロダクト、サービスの展開や社会に蓄積された企業や個人の英知を、ネットワーク上に展開するための技術提供からビジネス連携までをソフトウェア、ハードウェアの両面で手がける。

「新しい」は変わる。

改めて振り返ると、IT業界も昔はクローズドでした。技術の進展は今も昔も変わらないけれど、それに関われる個人や法人の数が圧倒的に少なく、プラットフォームを持つキャリアと携帯端末の製造を担うメーカーを筆頭にプレイヤーが限られていました。「新しい」サービスなどもそこを起点にして生み出されていたため、今のように多発的ではなく、ある程度決まったサイクルで更新されていくようなイメージでした。また業界自体も未成熟で、競合同士の市場の取り合いというよりかは、お互いにより良いものを生み出しながら市場全体を大きくしていこうという動きだったと思います。当時からコンテンツの知見やテクノロジーを持っていた当社はこうしたキープレイヤー達とも近い関係にあり、そのなかで実現できることがあったのも確かです。力のある企業に提案して、彼らも投資して、行動して、一緒になって「新しさ」を実現してきた時代が黎明期だったといえます。

今は、とにかくプレイヤーの数が激増しました。IT産業も飛躍的に拡大しています。日本だけでも会社は無数にあるし、関係人口もかつてとは比べものにならない。いうまでもなく、世界はさらに巨大です。「新しいこと」がそこかしこで起こっている。しかし、以前のように単純ではない。ITそのものの裾野が広がり多様化しています。「新しい」もどんどん変わるのです。

新しい風。

当社のグループ企業である株式会社ジェネシスホールディングスは、ハードウェアの企画から開発、製造・保守までを提供しています。現在、ソースネクスト株式会社の「POCKETALK(ポケトーク)W」やJapan Taxi株式会社の「決済機付き車載サイネージタブレット」などの案件を手がけ業績は好調です。このつながりのなかで、先日、株式会社ソラコムのイベントに参加させていただく機会を得ました。ソラコムは2015年に起業し急成長をとげてきたMVNO事業者で、データ通信SIMを提供しています。当社もリアルタイムで様々な情報を得て事業を推進していますが、イベント会場ではいくつもの驚きがありました。特に、ソラコムを活用しているプレイヤーの増加には眼を見張るものがありました。IoTに関する起業やプロダクトの多様化を目の当たりにし、改めて新しい風を感じました。

当社がジェネシスに出資したのが4年前。この時には、「なぜ、今ハードウェアをやるのか?」「間違いなのでは?」と言われました。当時はまだ、IoTの有用性を社会全体で理解しきれていなかったと思いますし、特にハードウェアはコストもかかるという印象が強かったですね。投資するのを決定した最大の理由は、私が中国の深圳にいって、ジェネシスのファクトリーを見たときにそのスピードと身軽さに衝撃を受けたことが大きいです。私はNEC出身なので、ハードウェア開発の経験もあり、ハードウェアの事業はとてつもないコストと時間がかかるという印象をもっていました。しかし、深圳の工場では汎用的なものを組み合わせて品質の高い製品をスピーディに作る環境が出来上がっていました。決してハードウェアそのものに新しさがあったわけではなく、作り上げていくための環境が新しかったのです。今後は、5Gの環境下でIoTが進化していくことで、ハードウェアがプラットフォーム内でブレイクスルーする可能性が劇的に増していきます。ソラコムの急成長はそれを体現していると思います。

ベンチャーの原動力。

では、当時なぜジェネシスに着目できたのかと言われれば、“苦しかったから”というのが正直なところです。2015年前後のモバイルの世界は、国内マーケットもどんどんアメリカのプラットフォームにシェアを奪われていきました。スマートフォンが主流になり、ビジネスの構造も変化にさらされており、このとてつもないスピードで潮目が変わっていく中で我々も足掻いていました。まさに未知の領域、MVNOが登場したのもこのころです。そんな中、少しではあるけど、自分たちのビジネス事例の中で大手キャリアとのやりとりで面白い成果の出ているビジネスも生まれていた。アメリカのプラットフォームに追随する方法もありましたが、結局頼れるのは自分自身なのだから、自らで突破口を見つけられないかと悩みに悩んでいました。苦しかったから必死で考えて、必死で動いて、必死で意思決定した結果、新しいものが見えてきたというのが本当のところです。

いろんな経営者がいます。自分はアウトローだと思っています。絵に描いたような経営者や、プロ経営者の方もいて、そちらは科学的なアプローチの経営をしていたりもします。ベンチャーは、不安とコンプレックスが原動力といっても過言ではないし、特にITはなにがどこから出てくるかが本当に読みづらいです。もちろん、今までにない価値を提供することが企業価値を高めるのに役立つことは間違いないことですが、まず他社との差別化に取り組むことが重要なのです。

新しい推進力。

当社は6社でグループを形成しています。お取引のある企業は数百社になります。この数字はグループで考えていますが、各社個別で考えることも重要と考えています。たとえば、急速にコモディティ化していたものが、ちょっとしたことで大きな可能性を持つようなことがあらゆる局面で起きています。お客様のニーズも刻一刻と変化します。これから、ますます変わっていくでしょう。こういう時代において、俊敏なフットワーク、迅速な判断はとくに重要です。

盤石と思われていたクルマの世界も変化のただ中にあります。保有からシェアになり、さらに自動運転になっていけば、事故がなくなる世界がやってくるかもしれない、そういう世界を予想し関連分野の企業は新しい取り組みを実行しています。たとえば、海外に人を出して特命を受けた優秀な人間がチャレンジできる環境を作っている、また、そういった分野にビジネスチャンスをみつけて展開を図るベンチャー企業もいるでしょう。一概にベンチャーがいいとか、大企業がいいとか、どちらが新しいとかを決めるのはナンセンスです。トータルで考えれば、社会が新しく進化していくことに疑いの余地はないのですから、私たちもそこをしっかりと見つめ、ニーズを読み迅速に応えることで新しい推進力を得ることができると考えています。

“スペシャル”が必要不可欠。

もちろん、経営者としてちゃんと稼いで利益を出して、会社を継続して存在していくという責任を果たしていくことが重要なことに変わりはありません。当社においては、そのための戦略は社名そのものです。ネオス=新しい。その戦略を具現化するための戦術を常に思案しています。
ネオスの事業は多岐に渡ります。Nintendo Switchのソフトを出すということも始めました。新しいことがどんどん始まっています。当社の戦略=新しいは、変化し続けることと同義です。したがって、人材の多様化も重要な課題です。社長とはゼネラルな存在。しかしそれは、スペシャルを保持している多様な人材が社内にいるから成立しているのだと思っています。ネオスグループでも、常に新しい力を欲しています。それが積算を生み新しく大きな推進力になります。その力を磨きながら、海原を泳ぎ、渡っていくために必要なリレーションも、創業15年の中で豊かに蓄積されています。私たちの新しい船出は常に今なのです。

目次
  1. #1 「新しい」とはなにか。
    「新しい」の舟を編む。
  2. #2 「新しい」とはなにか。
    「新しい」に求められる意識。
  3. #3 「新しい」とはなにか。
    「新しい」のエッセンス。