プロジェクトマネージャーは、決してミスを犯さないのか。Vol.1

プロジェクトマネージャーの仕事は、お客さんの願望を起点にまだ誰も作ったことのない料理を振る舞うのと等しい。頼りになるのは、お客さんの言葉と世の中にある技術を結び合わせる自らの力量。他人の知識と技術を巻き込みながら、限られた時間の中で“望まれた料理”を完成させなくてはならない。その責任と能力は、一体どのようにして培われるのか。まず初めに、プロジェクトマネージャーになって比較的年数の浅いS.Yに話を聞いた。

S.Y
アプリケーション開発部 プロジェクトマネージャー

高校卒業後、プログラミングを学べる専門学校へ入学。2014年、新卒でネオス株式会社に入社。アプリケーションの開発部署に3年間所属したのち、ネオスの異動制度(ジョブローテーション)により、システム開発色の強い業務を担当 。2年後、事業部の再編成に伴い、アプリケーション開発部に戻り現在はプロジェクトマネージャーとして従事している。

成功のためなら、何でもやる。

入社して丸5年、プロジェクトマネージャーの仕事は慣れましたか?

最近になってようやく慣れてきた、という感じです。プロジェクトの数を経験して「あれ、これ前も失敗したな」と思うことで、自分はどこを気をつけた方が良いのかがわかってきました。その時々で対応し直さないといけないものもあれば、習慣化しないと防げないミスもあり、やっとそのことに意識が向けられるようになりました。

入社した頃は、プロジェクトマネージャーのことを響きからして格好いいなんて浮かれていましたが、今はプロジェクトを成功させるためなら何でもやる何でも屋 だと思っています。プロジェクトマネージャーの仕事は、この技術さえ磨いていれば良いというものではありません。正解が欲しいけれど、毎回ルールもゴールも違う。プロジェクトを成功させるために必要なことは状況によって変化するので、その都度考えて行動することが重要になります。

プロジェクトマネージャーの一番の務めは、プロジェクトを成功させることだと言われています。お客さんとの関係を築くこと、要望を理解すること、目的と技術を結びつけること、それぞれの技術者とコミュニケーションをとること、実装まで持っていくことどれも重要な役目です。その1つ1つをスムーズに進めるために、契約を結ぶことを優先する時もあれば、お金の管理や人手の足りていない箇所のフォローなど、常に優先順位に従って適応することが求められます。

発言と責任。

自分より専門知識がある人に対して指示を出すことについて、どう考えていますか?

入社したての頃は遠慮ばかりしていましたが、そうも言っていられなくなり、今は当たり前のようにやっています。自分の発言が合っているかどうかよりも、自分の発言が間違っていると思う人がいれば、それは伝えるべきだろうという思いが強くなりました。

実際入社した頃からお世話になっている先輩方からは、これは違うんじゃないかと常に伝えていただける関係がありますし、それによって実際に見直すことは多々あります。反対に、自分に意見を言うことが当たり前になっていない人には、こちらから呼びかけるようにしています。自分の持っている知識は限られているのでおかしかったら言って欲しいし、解決策を一緒に考える意思があるということを伝えます。

プロジェクトマネージャーが抱える責任とは、どうのように向き合っていますか?

今でもとても怖いです。何百万、何千万という大金、それだけの責任とそれだけのパフォーマンスを求められていると考えると、身が引き締まる思いです。その中で判断をする力になっているのは、やはり経験。経験をもとにこれだけ考えたというのがひとつの自信になっていますし、あともうひとつ大きいのは自分よりキャリアが長い上司への信頼です。悩んだ時は、上司の方に判断を仰ぎます。その時、この人が大丈夫だと言ってくれているなら、これ以上はないなと素直に思えます。

エンジニアとの壁。

プロジェクトを進める上で意見のずれが生じた場合、どのように対応していますか?

それは違うんじゃないかと感じたり、もっと良くなるんじゃないかと思ったら、相手がお客さんであっても上司であっても正直に伝えます。アプリケーション開発部は、受注の仕事がほとんどです。「アプリを開発する専門家としてお願いしているのに、こっちの言いなりでは困る」という話をお客さんから伺うこともあるので、私の部署では意見は言うべきだという考えが定着しています。そのため、私自身経験が長いわけではありませんが、この会社にいる立場として、ここは間違っていると言えるところはきちんと伝えるようにしています。

それは社内でも同じです。違和感や疑問を感じたら、もっと良く出来るんじゃないかと自分の意見を伝えます。細かいところまで検証すると自分の方が全体像を描けていなかったということもありますが、もやもやさせたまま進めるよりよっぽど良い。その都度チーム内で生まれる認識のずれや、持っている情報の違いを共有出来るので、疑問を持ったままプロジェクトが進むことはほとんど無いです。

エンジニアとのコミュニケーションについては、どう考えていますか?

正直、難しいです。伝え方、コミュニケーションの取り方は今も悩みます。どうやったら納得して仕事をしてもらえるだろうと意識的に考えていますが、語弊を承知で言うと、説得するという気持ちでコミュニケーションをとることもあります。

私は、ネオスのジョブローテーションによってより開発色の強いシステムデザイングループに異動した時期があります。今考えると、開発の現場を実際に知る良い機会だったと思います。

それこそ、今も一緒に仕事をする エンジニアは10年以上ずっとプログラミングに触れている方達です。その人たちが普段どんな景色を見て、どんな情報に触れながら仕事をしているのか、時間は短いながらも実際に身を置けたことは良かったと思います。こちらが何でもないようなことだと思っていることが、実は手間のかかる作業だったりする。専門性が高くなればなるほど、本当の意味で理解することは難しくなるように感じます。エンジニアとしての知識がある分、指示をより具体的にして専門用語を交えながら伝える意識を持っていますが、そう簡単にうまくいくわけではないですね。

iPhoneの衝撃。

そもそもプロジェクトマネージャーを目指したきっかけはなんですか?

高校卒業後の進路をそろそろ真剣に考え始めないといけないという時に、日本で初めてiPhoneが発売されました。それまで、機械への関心が高かったわけではない私も、iPhoneを触った時は、ものすごく夢のあるものに出会ったという感じがしました。すごく漠然とした気持ちで、これからはこれがないと世の中が成り立たなくなるんだろうな、と思いました。その時の衝撃がきっかけで、高校卒業後は機械工学系の専門学校に行くことを決めました。

それから4年間、プログラミング・設計・開発の勉強をしました。自分でつくることも面白かったけれど、出来上がったものを活かすことへの興味の方が強くなり、就職活動ではプログラマーとして活躍するよりも、プログラマーと一緒に働きたいという気持ちを軸に置いておこないました。ネオスへは新卒で入りましたが、専門学校卒は私だけだったと思います。

専門学校での経験は、入社後すぐに役立ちましたか?

専門の知識は仕事をする土台として役に立ちましたが、学校で学んだ専門知識で仕事が出来たかというと、全くそうではありませんでした。入社2年ほどは、プロジェクトマネージャーの下について、半分勉強させていただくような形でプロジェクトに関わります。そこで求められたのは、お客さんとのコミュニケーションスキルだったり、ディレクションの能力だったので、持っている知識だけでは成立しないことがほとんどでした。

ネオスにはメンター制度があるので、その方に面倒をみてもらいながらいろんなプロジェクトマネージャーの下に付いて、とにかく数を経験し、仕事の全体像を徐々に理解していきました。

新しいは価値になるのか。

アプリケーション開発において、“新しい”にはどんな価値があると思いますか?

新しいものって目を引きますよね。ただ、必ずしも必要かというとそうではない気がします。新しくないものや既存のものは、長い間世の中を支えてきたということでもあると思うんです。反対に、新しいは根拠や実績がないとも言える。出てきた時の魅力はあるけれど、個人的には新しいもの=良いものであるという感覚はありません。

なので、お客さんに対しても必ずしも新しいものを提供しようとは思いません。お客さんの望んでいることが既存のもので叶えられると思ったらそういう提案をしますし、一番大事なのはお客さんが何を必要としているのか理解することだと思います。

ただ、新しいが感情的なモチベーションになることは十分あります。論理的ではないけれど、面白いからやってみたいなとかよし行ってみようみたいな、プラスの方向に進む分にはいい要素かもしれないです。

これから、どうなっていきたいか具体的なイメージはありますか?

正直、悩んでいます。出世コースみたいな話でいくと、平社員から係長になって部長になってというのがあると思うんですけど、仕事の役割で言うとプロジェクトマネージャーってプロジェクトの中では一番上なんですね。そう考えると、役職が増えていく変化はあるけど、役職が増えたからといってやることはそこまで変わらない。プロジェクトマネージャーは自分に向いていると思うし、好きな仕事です。じゃあ自分はどうなっていこうというのは、考えている最中です。

少し地味な目標かもしれないですけど、とにかくミスを少なくしていきたいですね。100点中80点がボーダーラインだったとして、この前は81点だったから次は82点、その次は83点と少しずつ刻んで今回は完璧だったと思えるところまでいきたいです。それを目指していれば、しばらくは目標には困らないと思います。

最後に、ネオスにいてくれると嬉しいなと思う人は、どんな人ですか?

明るい人ですかね。仕事に前向きな人。仕事はうまくいくことばかりじゃないので、後ろ向きになることも多いですし、そうするとひとりひとりのモチベーションに引っ張られていってしまったりするので。そんな時にひとりキラキラしている人がいたら、一緒に仕事をしていて力になるし、良い影響になると思います。